金城一紀を読む/観る
続編が望まれる!
CRISIS――公安機動捜査隊特捜班
金城一紀 原案・脚本『CRISIS――公安機動捜査隊特捜班』
脚本 金城一紀(兼・原案)
演出 鈴木浩介 白木啓一郎
出演者
小栗旬
西島秀俊
田中哲司
野間口徹
新木優子
飯田基祐
眞島秀和
石田ゆり子
野崎萌香
長塚京三
オープニング Beverly 「I need
your love」
製作
チーフ・プロデューサー 笠置高弘
プロデューサー 萩原崇
製作 関西テレビ放送
放送
音声形式 ステレオ放送
放送国・地域 日本
放送期間 2017年4月11日 - 6月13日
放送時間 火曜21:00 - 21:54
放送枠 関西テレビ制作火曜夜9時枠の連続ドラマ
放送分 54分
回数 10
■Amazon prime
■2021年12月5-7日視聴
■採点 ★★★★☆
とても面白かったと言いたいところだが、いささか残念な作品だ。
事情があって長らくテレ‐ヴィジョンを視聴できていなかった。金城一紀の類稀な才能については、かつて連続テレ‐ヴィジョン・ドラマ『SP』(2007年11月3日 - 2008年1月26日・フジテレビ)において十分に確認済みではあった。それをきっかけに、金城の小説作品についても全て目を通した。恐らく、彼の持ち味を生かすということで言うと、映像作品の方にいささか軍配が上がるとは思うが、その時々で、自分の進むべき道に行けばよいとは思う。
その後、『SP』の映画版を始め、全く彼の作品に接することができず、残念に思っていた。
今回たまたま機会があって、金城3作目のテレ‐ヴィジョン・ドラマ『CRISIS――公安機動捜査隊特捜班』を全10回分視聴できた。何しろ、他のテレ‐ヴィジョン・ドラマを全く見ていないので、通時的な意味でと、共時的な意味での比較的な見地からは全く何も分からない。
その前提で言うのであれば、大変面白かった。とりわけエピソード5・6の潜入捜査の下りは大変緊迫感があり秀逸であった。
大変面白かったのだが、意図してなのか、外部的な理由なのかが不明だが、伏線と言っていいのか、途中で、あたかも蜥蜴の尻尾きりのように終わっていたエピソードの行方が途絶えたまま、完結(?)してしまったことである。
更に言えば、作品の骨格をなす小栗旬と西島秀俊の背景となるドラマが掘り切れていないというのも残念だ。つまり、その前史の分を断片でもいいので、視聴者に提示して欲しかった。
具体的には、新興宗教のエピソードをもっと頻繁に入れるべきだったということ、その潜入者である眞島秀和、その妻石田ゆり子と西島の関係の掘り下げ。平成維新軍、及び小栗旬とその旧友金子ノブアキの掘り下げなどが不足していたかと思う。
各エピソードが複数回に跨っていて、これはやがて一本の線に繋がるのかと思いきや、そうでもなかった。無論、特捜班のメンバーの心情には一定の流れができていったというのは理解できるが、途中で少年二人の自死、ミサイル開発研究者の爆死など、恐らく通常のドラマの枠ではあり得ないエピソードの終わり方などには予定調和を崩すという意図は分からぬでもないが、人命は重い。それに見合うだけの結末が欲しかった。
ラストの緊急のニュースの知らせが、彼らの特捜班によるテロ実行の報だとすると(そうとは言ってないが)、それは余りにも残念だ。国家や国の上層部が仮に腐っていても、武力的な形での対抗は許されるべきではない。その意味でも、この曖昧な終わり方はいささかならず問題ではないか。何らかのテロなりが起こり、彼ら特捜班が再結集するかどうかというところで終わるべきではなかったか。
これは文学作品としての問題ではなく、エンターテインメントとしてテレ‐ヴィジョン・ドラマを不特定多数に提供する場合のぎりぎりの線ではないのか。
やはり、テロリズムを称揚/示唆する内容は何らかのエクスキューズが必要であろう。
100歩譲って、シーズン2なり、映画化が予定されていたとすれば、まだ、よしとすべき点もあるが、4年前の制作であることと、主演の小栗旬と西島秀俊の出世振りからすると、これはどうも続編は制作されないことはほぼ間違いない。
名優・長塚京三の好演が心に残った。大変素晴らしい。
以上のような次第で、全体としてよくできていただけに極めて残念だ。
本文1,388字
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20211208 1643
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