不徹底な作品
辻原登『円朝芝居噺 夫婦幽霊』
■辻原登『円朝芝居噺 夫婦幽霊』2007年3月20日・講談社。
■長篇小説(メタフィクション・落語)。
■2017年7月11日読了。
■採点 ★★★☆☆
いささかならず、この作品は不徹底といわざるを得ない。
三遊亭円朝の不伝の芝居噺の速記録が発見され、それを筆者が翻訳するという体裁を取った実話風の「小説」である。わたしは本書を完全な小説として読んだが、もしそうであるなら巻末に付せられた「訳者後記」において初めて、速記録が芥川と円朝長男の合作であることが明かされる。これは推理小説なら本編に登場しなかった人物を犯人と言っているようなものだから、ルール違反ではないか。
逆にこれが実話だとすれば、きちんとこれは評論なり研究なりであると明示すべきである。
注釈が章毎になっているのは読みづらい。
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