看板に偽りあり
石原千秋『大学生の論文執筆法』
■啓蒙書(?).
■2017年7月21日読了。
■採点 ★☆☆☆☆
これは遺憾。新書でこういう目的(タイトル?)と内容が著しく解離しているのは完全にアウトだろう。無論、編集者の側にも問題があるが、本人が気づくべきである。これは「論文執筆法」ではなく「ものの考え方入門」というところだろう。
本書を読んで論文が書けるようになった人がいたら逆に驚く。
細かいところになるが論理の運びや言葉、あるいは題材の選択などいささかならず首を捻るところが何ヵ所かあった。
揚げ足をとるようで気が引けるが、次の謎の一節には卒倒した(つまり、『新婚さん、いらっしゃい』における桂文枝師匠のように椅子から転げ落ちた、という意味である)。
しかし、小谷野敦が最近特に「研究は「価値自由」でなければならない」と言っているような観点からすれば(以下略) (本書・二三○頁)
ちょっと待て。貴様は気は確かか? そもそも「価値自由 wertfreiheit」とはマックス・ヴェーバーの術語ではないのか。小谷野がどのような文脈でいかなることを述べているのか引用出典が示されていない以上わたしには(無論、他の読者にも)、分からぬが、いずれにしても卒倒ものである。
このような無防備な用語の運びからすれば、本当にこの筆者は分かって書いているのか、とすら疑心に駆られる。
ぶっちゃけ、あなたに小熊英二を批判する*資格はない。
*本書・三五頁。
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