木村敏先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます
2021年8月4日、精神病理学者木村敏先生がお亡くなりました。90歳とのことです。
ここに謹んで哀悼の意を表し、先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
最初に手に取った『異常の構造』のあとがきに、――今、たまたま手元に本がないのでうろ覚えですが、精神の「異常」を来した方々と接して、たまたまわれわれが「正常」の側にいるに過ぎないのだ、という言葉に接し、その学問だけではない、お人がらのようなものが、その後もずっと、ご著書に表れていたかと思います。
恐らく木村先生のお名前は名著『時間と自己』によって、日本の、いや世界の哲学史に留められることになるかとは思いますが、個人的には、先ほど挙げた『異常の構造』、精神病理学の歴史を示す中で生命的視点を示した『心の病理を考える』、また、「偶然性」の研究に大きな足取りを残した『偶然性の精神病理』、あるいはテレンバッハの『メランコリー』の翻訳などが大きく心の財産となっております。
その意味で、高度な哲学や精神病理学の専門書だけではなく、多くの啓蒙書を手掛けられていることにも、そのお人柄を忍ばせ、感銘を受ける次第です。
🦢
2021/08/06 22:16
0 件のコメント:
コメントを投稿