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2016年7月1日金曜日

キャバレー王 福富太郎氏

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キャバレー王 福富太郎氏 


  
 
福富太郎氏
 昨日の『朝日新聞』の夕刊に「義理と人情」というテーマの連載コラムに、キャバレー王として知られる福富太郎氏のことが紹介されていた*。 

*小泉信一「義理と人情をたどって 8 キャバレー太郎、カネと恩」/『朝日新聞』2015年6月30日夕刊。 

 以前「11PM」か何かのTV番組でちらっと見たことがあるぐらいで、正直彼のことは分からない。 
 私はキャバレーはおろか、風俗の類はまるで経験がない。が、この新聞記事に接して何か思うところがあった。 
 ひとつは大の大人が夜遊ぶ場所がない、ということだ。例えばアメリカの小説、フィッツジェラルドの小説等を読むと、ガーデンパーティーやら社交クラブなどがあり、そこそこ楽しめるだろう。あるいはカジノをその一つにあげてもいいかもしれない。 
 いずれにしても、日本の夜の愉しみというと居酒屋で管を巻くぐらいが関の山だ。そう考えてくると、何ゆえキャバレーがかくも衰退してしまったのか、ということは一考に値すると考えられる。 
 なぜ日本の大人は遊ばなくなったのであろうか。 
 さらに考えたことは、この福富氏のような、一時代を築いた立志伝中の人の言動はとても面白いということだ。 
 先日、沢木耕太郎氏の手になる、やはり戦後日本にキャバレーで一時代を築いた山田泰吉の半生を描いた「帝(みかど)」を読んだ(沢木耕太郎『馬車は走る』文春文庫)。本一冊費やしてもいいのではないかと思われるぐらい面白かった。多分そこにあるのは人間の存在することの愚かさと哀しみなのだろう。 
 福富氏は次のようなことを述べている。「人生は九割九分は金だ。しかし受けた恩は絶対に忘れてはいけない」と。そして勝海舟の言葉を引いて、政治家は「正(ママ)心誠意」の四文字が大切だとも。『朝日』の記者・小泉信一氏は義理人情というが「筋を通すことが大切だ」と結論付ける。宜(むべ)なるかな。 

初稿:2015年7月1日 

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