――人はなぜ同じ本を買ってしまうのか?
【要約】
書評同人誌発の古書店が、同じ本を複数購入してしまう「Wの悲劇」をテーマに緊急特集を開催。夏樹静子「Wの悲劇」とは無関係に、村上春樹、河合隼雄、沢木耕太郎など人気作家の小説・エッセイ、哲学・歴史・社会学などの専門書、漫画「進撃の巨人」「舞妓さんちのまかないさん」など幅広いジャンルの古書31点を出品。状態と価格を明記し、掘り出し物を提供。
【Summary】A used bookstore originating from a book
review club is holding an emergency special feature on the theme of the
'Tragedy of W,' where the same book is purchased multiple times. Unrelated to
Shizuko Natsuki's 'Tragedy of W,' the store offers 31 used books across a wide
range of genres, including novels and essays by popular authors such as Haruki
Murakami, Hayao Kawai, and Kotaro Sawaki, as well as specialized books on
philosophy, history, and sociology, and manga such as 'Attack on Titan' and
'Maiko's Dinner Table.' The condition and price are clearly stated, providing
bargain finds.
「PASSAGE by ALL REVIEWS」
https://passage.allreviews.jp/
東京都千代田区神田神保町1-15-3
サンサイド神保町ビル1F
詳細は以下をごらん下さい。
鳥の事務所 | PASSAGE by ALL REVIEWS
はじめに
当棚は、書評同人誌『鳥――批評と創造の試み』を母体とした、原則として期間を限定した特集を方針とする書棚です。残念ながら、本職が忙しく、全く、こちらの手入れができていません。本当は宮沢賢治か、辻井喬か、ガブリエル・ガルシア=マルケス、あるいは井上靖の特集を組みたいところですが、全く準備が整いません。困ったものです。そこで、緊急特集として「Wの悲劇」を満を持して放ちます(笑)。「Wの悲劇」は無論、薬師丸ひろ子さん主演となる映画の原作として知られる、夏樹静子さん作のミステリーですが、今回の特集とは全く関係ありません。要は、古本の巡礼を趣味とする者なら、恐らく、必ずと言っていいほど、やってしまうであろう過失、すなわち同じ本を再び(あるいは三度と)買ってしまうあれです。これを我が家では「Wの悲劇」と呼んでいます。これを死蔵していても致し方ないので、この機会に放出させていただきます。こうして並べてみると、滅茶苦茶な読書の趣味ですね。致し方ありません。ぶっちゃけ、無料で差し上げてもいいぐらいなのですが、ま、本屋ですので、幾ばくかの代金を頂戴することをご了解ください。それでは、どうか宜しくお願いします。
今回の出品目録
① 小山愛子『舞妓さんちのまかないさん』①②③・2017年・小学館。
② 諌山創『進撃の巨人』31・32・33・34(完結)・2020年~2021年・講談社。
③ エリカ・アンギャル『グルテンフリーダイエット』2013年・ポプラ社。
④ 杉浦日向子『一日江戸人』1998年・新潮文庫。
⑤ 江藤淳『閉ざされた言語空間――占領軍の検閲と戦後日本』1994年・文春文庫。
⑥ 佐藤進一・網野善彦・笠松宏至『日本中世史を見直す』1999年・平凡社ライブラリー。
⑦ 橋爪大三郎・大澤真幸『ゆかいな仏教』2013年・サンガ新書。
⑧ 河合隼雄『ユングと心理療法――心理療法の本㊤』1999年・講談社+α文庫。
⑨ 河合隼雄『影の現象学』1987年・講談社学術文庫。
⑩ 河合隼雄『【河合隼雄対話集】――こころの声を聴く』1995年・新潮社。
⑪ 村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』1999年・新潮文庫。
⑫ 村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?――紀行文集』2015年・新潮社。
⑬ マイケル・ギルモア、村上春樹訳『心臓を貫かれて』1996年・文藝春秋。
⑭ 堀江敏幸『バン・マリーへの手紙』2007年・岩波書店。2冊。
⑮ J.D.サリンジャー、村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』2003年・白水社。
⑯ カズオ・イシグロ、土屋政雄訳『わたしを離さないで』2008年・ハヤカワepi文庫。
⑰ エドワード・W・サイード、板垣雄三・杉田英明監修、今沢紀子訳『オリエンタリズム』下・1993年・平凡社ライブラリー。
⑱ 亀山郁夫『ドストエフスキー 共苦する力』2009年・東京外国語大学。
⑲ 木田元『ハイデガーの思想』1993年・岩波新書。
⑳ 亀山郁夫『ドストエフスキー――謎とちから』2007年・文春新書。
㉑ 納富信留『シリーズ・哲学のエッセンス――プラトン――哲学者とは何か』2002年・NHK出版。
㉒ 上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究――女の読み方・読まれ方・読ませ方』2009年・岩波現代文庫。
㉓ 大岡信『私の万葉集』一・1993年・講談社現代新書。
㉔ 沢木耕太郎『オリンピア――ナチスの森で』1998年・集英社。
㉕ 千葉雅也『勉強の哲学――来るべきバカのために』2017年・文藝春秋。
㉖ 古川日出男『LOVE』2005年・祥伝社。
㉗ 穂村弘(、フジモトマサル装画・本文イラスト)『にょっ記』2006年・文藝春秋。
㉘ 沢木耕太郎『作家との遭遇』2018年・新潮文庫。
㉙ 沢木耕太郎『オン・ザ・ボーダー――沢木耕太郎ノンフィクションⅣ』2003年・文藝春秋。
㉚ 黒田勝弘『韓国を食べる』2005年・文春文庫。
㉛ 魚柄仁之助『冷蔵庫で食品を腐らす日本人――日本の食文化激変の50年史』2007年・朝日新書。
簡単な解説
① 「京の味、舞妓と育む、癒やしの食卓」――小山愛子『舞妓さんちのまかないさん』①②③・2017年・小学館。3巻セット。
京都の花街を舞台に、舞妓さんたちの日常と、彼女たちの食事を作るまかないさんの温かい交流を描いた作品です。主人公のキヨは、舞妓になることを諦め、屋形のまかないさんとして働くことになります。彼女が作る料理は、舞妓さんたちの心と体を癒し、日々の疲れを忘れさせてくれます。この漫画は、京都の美しい風景や伝統文化、そして美味しそうな日常の描写が魅力的で、読んでいると心が温まります。舞妓さんたちの華やかな世界と、まかないさんの素朴な日常が対比的に描かれており、それぞれの生活の魅力を感じることができます。
可、カヴァー若干汚れ。3巻セットで900円。
② 「人類の原罪を問いかける日本漫画史上屈指の巨編」――諌山創『進撃の巨人』31・32・33・34(完結)・2020年~2021年・講談社。4巻セット。
人類が巨人に脅かされる世界を舞台に、主人公エレン・イェーガーとその仲間たちの戦いを描いた壮大な物語です。31巻から34巻では、物語がクライマックスを迎え、エレンの目的と世界の真実が明らかになります。人類と巨人の戦いは、単なる生存競争ではなく、民族間の憎悪や歴史の歪みが複雑に絡み合ったものでした。エレンは、世界を救うために、自らが悪となる道を選びます。その壮絶な決断と、仲間たちとの葛藤、そして衝撃的な結末は、読者の心を深く揺さぶります。この作品は、アクション、ミステリー、ヒューマンドラマなど、様々な要素が融合した、他に類を見ない傑作です。最後の四巻だけで恐縮ですが、是非第1巻からお読みください。
ほぼ新品。4巻セットで840円。
③ 「体の中から、美しくなる、新食習慣(なんちゃって(笑))」――エリカ・アンギャル『グルテンフリーダイエット』2013年・ポプラ社。
グルテンフリーダイエットの第一人者であるエリカ・アンギャルさんが、グルテンフリーの食事法を紹介した本です。グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質の一種で、人によっては消化不良やアレルギーの原因になることがあります。グルテンフリーダイエットは、これらの穀物を避け、米、野菜、果物、肉、魚などを中心とした食事法です。本書では、グルテンフリーの食事のメリットや、具体的なレシピ、外食時の注意点などが解説されています。と思って買ってみたものの、想像を絶する中身の軽薄さに驚きました。こうして売ることにも罪悪感を覚えるため価格は驚異の10円です。
良い。10円。
④ 「江戸の一日、笑いと驚き、時代絵巻」――杉浦日向子『一日江戸人』1998年・新潮文庫。
江戸時代の庶民の暮らしを、一日を通して描いた作品です。杉浦日向子さんは、豊富な資料と独自の視点から、江戸の人々の生活を生き生きと描き出しています。朝の身支度から始まり、食事、仕事、遊び、そして夜の過ごし方まで、江戸の一日が詳細に描かれており、読者はまるでタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができます。この本は、歴史ファンはもちろん、江戸時代の文化や風俗に興味がある人にもおすすめです。杉浦日向子さんの軽妙な語り口と、ユーモアあふれるイラストも魅力的で、楽しみながら江戸の暮らしを学ぶことができます。
非常に良い。250円。
⑤ 「占領下の言論統制、歴史の闇」――江藤淳『閉ざされた言語空間――占領軍の検閲と戦後日本』1994年・文春文庫。
戦後日本を代表する文芸評論家・江藤淳さんがGHQによる検閲の実態を明らかにし、戦後日本の言論空間がどのように形成されたかを検証した作品です。GHQによる検閲は、戦前の国家主義的な言論を排除する一方で、民主主義的な言論を育成することを目的としていました。しかし、実際には、GHQの意に沿わない言論は徹底的に排除され、戦後の言論空間は大きく歪められました。江藤さんは、膨大な資料を基に、GHQの検閲の実態を具体的に示し、戦後の思想や文化に与えた影響を考察しています。この本は、戦後日本の言論空間を考える上で、欠かすことのできない重要な作品です。
可。一部ラインマーカーあり。300円。
⑥ 「従来の中世像を覆す視点、新たな歴史観の提示」――佐藤進一・網野善彦・笠松宏至『日本中世史を見直す』1999年・平凡社ライブラリー。
佐藤進一さん、網野善彦さん、笠松宏至さんという日本中世史研究の第一人者たちが、従来の歴史観を問い直し、新たな視点から中世社会の実像に迫った作品です。従来の歴史観では、中世は暗黒時代と捉えられがちでしたが、本書では、中世社会は多様な階層の人々が活発に交流し、独自の文化を育んだ時代として描かれています。著者たちは、権力構造や社会経済、文化など多角的な分析を通して、中世史の多様な側面を提示し、読者に新たな歴史観を提示しています。
可。500円。
⑦ 「社会学の視点から見る本来の仏教の姿、その知恵」――橋爪大三郎・大澤真幸『ゆかいな仏教』2013年・サンガ新書。
日本を代表する社会学者・橋爪大三郎さんと大澤真幸さんが、仏教の教えを現代社会の視点から読み解き、その思想的な意義や現代における可能性を探求した対話形式の作品です。仏教の教義や歴史を分かりやすく解説するだけでなく、現代人が抱える問題に対する仏教的な視点を提示しています。例えば、資本主義社会における競争や格差、環境問題などについて、仏教の教えがどのように示唆を与えてくれるのかを論じています。仏教に関心がある人はもちろん、現代社会の問題に関心がある人にもおすすめです。
可。420円。
⑧ 「心の奥底、ユングと探る、自己発見」――河合隼雄『ユングと心理療法――心理療法の本㊤』1999年・講談社+α文庫。
日本で最初のユング派分析家、臨床心理学者・河合隼雄さんが、ユング心理学の基本概念と心理療法への応用を解説した作品です。元型やコンプレックスなど、ユング心理学の重要な概念を具体例を交えて解説し、心理療法の実践に役立つ理論と方法を紹介しています。河合さんは、ユング心理学を日本の文化や事例に照らし合わせながら解説することで、読者がより深く理解できるように工夫しています。心理療法に関心がある人はもちろん、ユング心理学に関心がある人にもおすすめです。
可。390円。
⑨ 「心の闇に光を当てる、自己と向き合う」――河合隼雄『影の現象学』1987年・講談社学術文庫。
言うまでもありませんが、哲学的な意味での「現象学」とは無関係です。河合隼雄さんが、人間の心の奥底に潜む「影」の概念を、ユング派の臨床心理学的な視点から探求した作品です。影とは、人が意識的に抑圧している側面であり、それは時に自己や他者に対する否定的な感情や行動として現れます。河合さんは、影の概念を、神話や物語、夢などの具体例を通して解説し、影と向き合い、統合することの重要性を説いています。この本は、自己理解を深め、より豊かな人生を送るためのヒントを与えてくれます。
可。525円。
① 「対話から心の声を聞く河合心理学」――河合隼雄『【河合隼雄対話集】――こころの声を聴く』1995年・新潮社。
河合隼雄さんが、様々な分野の人々(山田太一さんや村上春樹さん、白洲正子さんや多田富雄さんなど)と行った対話を収録した作品です。現代社会における心のあり方や、人間関係、教育など、多岐にわたるテーマについて、河合さんの深い洞察と温かい人柄が伝わる対話が収録されています。河合さんは、相手の話に真摯に耳を傾け、共感しながら対話を進めることで、相手の心の奥底にあるものを引き出していきます。この本は、河合さんの思想や人柄に触れることができる貴重な一冊です。
可。750円。
② 「村上春樹、酒と旅する、至福の時」――村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』1999年・新潮文庫。
村上春樹さんが、世界各地のウィスキー蒸留所を巡る旅のエッセイです。ウィスキーへの深い愛情と造詣を背景に、各地の風土や文化、人々とウィスキーの関係を綴っています。村上さんは、ウィスキーを単なる酒としてではなく、文化や歴史、人々の暮らしと深く結びついた存在として捉えています。ウィスキー好きはもちろん、村上春樹さんのファンにもおすすめです。数多く収録されている写真は陽子夫人の手になるものです。
可。275円。
③ 「村上春樹、旅と出会い、心の記録」――村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?――紀行文集』2015年・新潮社。
村上春樹さんが、世界各地を旅した紀行文集です。旅先での出会いや体験、感じたことを、村上さん独特のユーモアと洞察力で綴っています。村上さんは、旅先で出会った人々や風景、文化に触れることで、日常では気づかない様々なことを発見していきます。この本は、村上春樹さんの旅の視点を通して、世界を新たな視点で見ることができる一冊です。
可。825円。
④ 「人生とは呪いの異称なのか? まさに、アメリカの「カラマーゾフの兄弟」!」――マイケル・ギルモア、村上春樹訳『心臓を貫かれて』1996年・文藝春秋。
音楽評論家・マイケル・ギルモアさんが実兄である殺人者の視点から描いた衝撃的なドキュメントを、村上春樹さんが翻訳した作品です。冷酷な殺人者の心理と行動を、生々しく描き出すことで、読者に人間の心の闇を突きつけます。村上春樹さんは、この作品の翻訳を通して、人間の心の奥底にある暴力性や狂気を探求しています。村上さんの翻訳作品では屈指の衝撃作。
可。経年劣化。1,450円。
⑤ 「湯煎のようにゆっくりと綴る心の風景」――堀江敏幸『バン・マリーへの手紙』2007年・岩波書店。2冊。
「バン・マリ(ー)」(bain-marie)とはフランス語で「湯煎」のこと.直接火にかけないことで逆に奥深くまで火を通しうるこの調理法にならって,彼方に過ぎ去った淡い思い出や,浮いては沈む想念を,湯煎にかけるようにゆっくりと,細密かつやわらかな筆捌きでつづる最新エッセイ.堀江さんは、日常の些細な出来事の中に、豊かな物語や人間の心の機微を見出していきます。この本は、読者に日常の美しさや豊かさを再発見させてくれます。何故か、この本は4冊も我が家に集まりました。一冊は、今は亡き兎が齧ってボロボロにしてしまいました(笑)(泣)。
可。経年劣化。900円。
⑪「社会への違和、青春の叫び、心の彷徨」――J.D.サリンジャー、村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』2003年・白水社。
J.D.サリンジャーさんが青春の葛藤と孤独を描いたアメリカ文学の金字塔を、村上春樹さんが翻訳した作品です。主人公ホールデン・コールフィールドの視点から、社会への反抗や心の揺れ動きを鮮烈に描き出しています。村上春樹さんは、この作品の翻訳を通して、若者の心の叫びや社会への違和感を、現代の読者に伝えています。
可。800円。
⑥ 「未来を与えられないなら、今を全て生きる」――カズオ・イシグロ、土屋政雄訳『わたしを離さないで』2008年・ハヤカワepi文庫。
カズオ・イシグロさんが、特殊なミッションのために生きることを宿命づけられた若者たちの、愛と喪失を描いたディストピア小説です。人間の存在意義や倫理的な問題を問いかける作品であり、読者に深い感動と衝撃を与えます。イシグロさんの繊細な文章と、人間の心の奥底に迫る物語は、多くの読者の心を捉えています。
可。400円。
⑦ 「西洋の眼、東洋を映す、偏見の構造」――エドワード・W・サイード、板垣雄三・杉田英明監修、今沢紀子訳『オリエンタリズム』下・1993年・平凡社ライブラリー。
エドワード・W・サイードさんが、西洋のオリエント認識を批判的に検証し、「オリエンタリズム」という概念を提示した作品です。西洋によるオリエント支配の構造を明らかにし、現代社会における文化的な偏見や権力関係を考察しています。サイードさんの鋭い分析と批判は、現代の文化研究に大きな影響を与えています。すいません、下卷のみです。
可。800円。
⑧ 「苦悩の果て、共苦を知る、人間賛歌」――亀山郁夫『ドストエフスキー 共苦する力』2009年・東京外国語大学出版会。
『カラマーゾフの兄弟』の斬新な新訳で、洛陽の紙価を高らしめたロシア文学者・亀山郁夫さんが、ドストエフスキーの作品と生涯を通して、彼の思想の核心にある「共苦」というテーマを探求した作品です。他者の苦しみに寄り添い、共に苦しむことの意義を説いています。亀山さんは、ドストエフスキーの作品に登場する様々な人物の苦悩を通して、人間の心の奥底にある共感力や連帯感を探求しています。
可。700円。
⑨ 「存在とは、時とは何か、哲学の深淵を問う」――木田元『ハイデガーの思想』1993年・岩波新書。
日本を代表するハイデガー研究者・木田元さんが、ハイデガーの哲学思想を、その生涯と時代背景を踏まえながら解説した作品です。存在、時間、死など、ハイデガー哲学の主要なテーマを分かりやすく解説しています。木田さんは、難解なハイデガーの思想を、具体例や日常的な言葉を用いて解説することで、読者がより深く理解できるように工夫しています。
可。350円。
⑩ 「魂を揺さぶる、謎と力の深淵」――亀山郁夫『ドストエフスキー――謎とちから』2007年・文春新書。
亀山郁夫さんが、ドストエフスキーの生涯と作品を、彼の思想の根底にある「謎とちから」という視点から読み解いた作品です。ドストエフスキーの作品に込められた思想やメッセージを、現代社会との関連で考察しています。亀山さんは、ドストエフスキーの作品を、単なる文学作品としてではなく、現代社会の問題を考えるための重要な手がかりとして捉えています。
可。390円。
⑰「哲学の原点、プラトンと出会う」――納富信留『シリーズ・哲学のエッセンス――プラトン――哲学者とは何か』 2002年・NHK出版。
西洋古典哲学研究者・納富信留さんが、プラトンの哲学思想を、その生涯と対話篇を通して解説した作品です。プラトンの思想の核心であるイデア論や国家論を、現代的な視点から考察しています。納富は、プラトンの思想を、難解な哲学用語を避け、平易な言葉で解説することで、読者がプラトンの思想に親しみやすいように工夫しています。プラトンの思想は、現代社会においてもなお重要な示唆を与えてくれるものであり、哲学に関心がある人はもちろん、現代社会の問題に関心がある人にもおすすめです。
可。500円。
⑱「女の視線、男の視線、交錯する欲望」――上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究――女の読み方・読まれ方・読ませ方』 2009年・岩波現代文庫。
現代日本を代表する社会学者・女性学者・上野千鶴子さんが、「セクシィ・ギャル」という視点で、現代社会における女性の身体と性のあり方を考察した作品です。女性がどのように見られ、どのように自己表現するのかを分析しています。上野さんは、セクシィ・ギャルを、単なる流行現象としてではなく、女性の自己表現の一形態として捉え、その背後にある社会的な要因や心理的な要因を分析しています。この本は、女性学やジェンダー論に関心がある人はもちろん、現代社会における女性のあり方に関心がある人にもおすすめです。
可。500円。
⑲「万葉の歌、心に響く、大岡信の世界」――大岡信『私の万葉集』一 ・1993年・講談社現代新書。
詩人・大岡信さんが、万葉集の中から、作者自身の心に響いた歌を厳選し、その背景や解釈を解説した作品です。万葉集の歌に込められた情感や思想を、現代人の感性で読み解いています。大岡さんは、万葉集の歌を、単なる古典としてではなく、現代人の心に響く歌として捉え、その魅力を伝えています。万葉集に関心がある人はもちろん、日本の古典文学に関心がある人にもおすすめです。
可。経年劣化。300円。
⑳「歴史の暗影、五輪に潜む真実」――沢木耕太郎『オリンピア――ナチスの森で』 1998年・集英社。
ノンフィクション作家・沢木耕太郎さんが、1936年のベルリン・オリンピックを舞台に、ナチス政権下のドイツとオリンピックに翻弄された人々の姿を描いた作品です。歴史の暗部と人間の尊厳を問う作品であり、読者に深い感動と衝撃を与えます。沢木さんは、オリンピックという華やかな舞台の裏側で、ナチス政権がどのように人々を支配し、利用したのかを、綿密な取材と資料に基づいて描き出しています。
㉑「勉強とは、思考とは、自分を探す旅」――千葉雅也『勉強の哲学――来るべきバカのために』 2017年・文藝春秋。
哲学者・千葉雅也さんが、勉強とは何か、なぜ勉強するのかという問いを、哲学的な視点から考察した作品です。従来の勉強観にとらわれず、自由で創造的な学びの可能性を提示しています。千葉さんは、勉強を、単なる知識の習得ではなく、自己を解放し、世界を理解するための手段として捉え、その意義を問い直しています。この本は、勉強に関心がある人はもちろん、哲学や思想に関心がある人にもおすすめです。
可。カヴァー一部欠損。350円。
㉒「愛とは何か、欲望と孤独の果てに」――古川日出男『LOVE』 2005年・祥伝社。
古川日出男さんが、愛をテーマにした連作短編集です。様々な愛の形を描きながら、人間の心の奥底にある欲望や孤独を浮き彫りにしています。古川は、愛を、単なる感情としてではなく、人間の存在そのものに関わる根源的なテーマとして捉え、その多様な側面を描き出しています。この本は、恋愛小説に関心がある人はもちろん、人間の心理に関心がある人にもおすすめです。第19回三島由紀夫賞受賞作品。
可。800円。
㉓「穂村弘、日常を綴る、心の短歌」――穂村弘(フジモトマサル装画・本文イラスト)『にょっ記』 2006年・文藝春秋。
歌人・穂村弘さんが、日常の中で感じたことや考えたことを、ユーモラスな文体で綴ったエッセイです。日常の些細な出来事から、人生や社会に対する深い洞察が垣間見えます。穂村さんは、日常の出来事を、独特のユーモアと感性で捉え、読者に新たな視点を与えてくれます。今は亡きフジモトマサルさんのイラストが秀逸です。この本は、エッセイに関心がある人はもちろん、日常を豊かに過ごしたい人にもおすすめです。
可。経年劣化。650円。
㉔「作家の素顔、言葉の奥に潜む真実」――沢木耕太郎『作家との遭遇』 2018年・新潮文庫。
沢木耕太郎さんが、少年時代から魅了されてきた作家たちとの「遭遇」を綴ったのが、本書『作家との遭遇』です。本書で描かれるのは、山本周五郎、向田邦子、山口瞳、色川武大、吉村昭、吉行淳之介、小林秀雄、瀬戸内寂聴など、19人の個性豊かな作家たちです。沢木さんは、彼らの作品世界はもちろん、その生き方や思想にも深く迫り、作家としての本質を鮮やかに描き出しています。沢木さんの筆致は、単なる作家紹介にとどまりません。彼自身の作家論や文学観も織り交ぜながら、作家たちの魅力を多角的に掘り下げています。読者は、まるで沢木さんと共に作家たちと対話しているかのような感覚を覚えるでしょう。
可。若干カヴァー汚れ。315円。
㉕「国境の彼方、人間の境界線を探る旅」――沢木耕太郎『オン・ザ・ボーダー――沢木耕太郎ノンフィクションⅣ』 2003年・文藝春秋。
沢木耕太郎さんが、世界各地の国境地帯を旅したノンフィクションです。国境を越える人々や、国境で生きる人々の姿を通して、現代社会の現実を浮き彫りにしています。沢木さんは、国境を、単なる地理的な境界線としてではなく、人間の生と死、希望と絶望が交錯する場所として捉え、その現実を描き出しています。この本は、ノンフィクションに関心がある人はもちろん、現代社会の問題に関心がある人にもおすすめです。
可。経年劣化。950円。
㉚ 「食を通して見えてくる、隣国のリアル。知られざる韓国の食文化を堪能する。」――黒田勝弘『韓国を食べる』2005年・文春文庫
本書は、ジャーナリストの黒田勝弘さんが韓国の食文化を通して、その歴史や社会、政治までを深く掘り下げた一冊です。黒田さんは、単なるグルメ紹介にとどまらず、食にまつわるエピソードや歴史的背景を丁寧に解説し、読者を韓国という国の奥深い魅力へと誘います。例えば、キムチ一つをとっても、その起源や製法、地域ごとの違い、そして現代の食卓における役割まで、多角的な視点から考察しています。また、宮廷料理や庶民の味、さらには北朝鮮の食事情にも触れ、食を通して朝鮮半島の歴史と文化を立体的に描き出しています。本書は、韓国料理を愛する人はもちろん、隣国の文化をもっと深く知りたいという人にもおすすめの一冊です。
可。310円。
㉛ 「冷蔵庫は、食品の墓場か?食卓の危機を、ユーモアと警鐘で綴る。」――魚柄仁之助『冷蔵庫で食品を腐らす日本人――日本の食文化激変の50年史』2007年・朝日新書
本書は、食文化研究家の魚柄仁之助さんが、日本の食卓と冷蔵庫の関係を独自の視点から考察した一冊です。魚柄さんは、冷蔵庫の普及がもたらした食生活の変化を、豊富な知識とユーモアを交えて解説します。例えば、冷蔵庫がなかった時代の人々の知恵や工夫、食品の保存方法、そして現代人が忘れかけている「食」に対する感謝の気持ちなどを、具体的なエピソードを交えながら語ります。また、食品ロス問題や食育の重要性にも触れ、私たち現代人が見直すべき食生活のあり方を提案しています。本書は、食に関心のある人はもちろん、日々の食生活を見直したいという人にもおすすめの一冊です。
可。370円。
◆こ と の 次 第 ◆ Der Stand der Dinge◆
という訳で、2年ぶりの刊行です。月日の経つのは全く早いですね((笑))。いずれにしても、きちんとした企画が難しいので、苦肉の策となります。ま、そのうち、なんとかなるように頑張りたいところです◇昨年は一体、何をしていたのか? ま、結局何もしていなかったので、このような仕儀となる訳です◇今回の企画は相方との共同企画です。いささか毛色の違う選書は相方presentedです◇ここ数か月は井上靖さんの作品を漠然と読んできました。あまり、感想が浮かんでこないというのが井上さんのいい点ですね。しかしながら、『淀どの日記』と『風濤』は出色の作と見受けました◇今は、これまた唐突に梅原猛さんの論著を読み始めました。理由は全くありません。梅原さんのものは高校生の頃((笑))、何冊か読んでいたと思います。学問としては疑問が残るかと思いますが、ま、それはそれ、ということですね。興味が続くまで、継続して読んでいきたいと考えています◇それと並行して懸案でした「三浦雅士論」(のようなもの)をなんとか形にしたいと思います◇机の向きを庭に面するように変えました。あまり家にいないので、意味ないかも知れませんが、散りかけの紅梅の花びらが美しく見えます。
〈鳥〉
🐤
2025042005