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2018年6月4日月曜日

いささか残念 村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

いささか残念 

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』 


■村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』2007年10月15日・文藝春秋。 
■長篇エッセイ(ただし本人は「メモワール」、つまり「回想録」としているがそれほどでもない) 
■2018年6月3日読了。 
■採点 ★☆☆☆☆。 

 アスリートでありつつ作家であるというかなり特殊なあり方を持っている小説家の日常の生活や、そこに込められたポリシーのようなものががうかがえるが、それ以上でもそれ以下でもない。その生活(life)はあまりにも日常過ぎて人生(life)を食い破るに至ってない。しかし生活とは本来的にも現実的にもそうであるべきなのだ。だから間違っていないが、いわゆるスポーツ・ノンフィクションの登場人物のような鬼気迫るシーンは全くない。そう言えばいつも見られるユーモアの欠片もないのはいかがしたか。 

 何のためにこの文章群は書かれたのであろうか。 
 恐らく雑誌に単発的に掲載された何本かのrunningに関しての文章*を母体として、それを主題とする本を作るという企画が起こった。しかし枚数が足らない。そこで2005年のニューヨーク・シティ・マラソンに向けて準備をする文章が書き始められ、そこに雑誌掲載分を適宜挿入するということになったのだと思う。 

*例えばアテネからマラトンまでという古代マラソンの走路を実際に走った記事「42.195キロのテラ・インコグニタ」など。この手のものはそのときの臨場感があって面白いのだが。 

 そんなわけで、なのかどうかは分からないが本全体の印象が、どうも楽しんで書いているというようには受け止められない。 
 いささか残念ではあるが、人生にはそういうこともあるな。 
🐔 
2018年6月4日 15:39  


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