一流の文芸評論家としての卓抜なTV時評
吉本隆明『情況としての画像――高度資本主義下の[テレビ]』1991年6月20日・河出書房新社。
■2016年4月22日読了。
往時の吉本さんが一日の相当な時間をテレビ視聴に当てていたことと、さらにはかなりの熱心さで、様々な好悪の判断も織り交ぜつつテレビと接していたことが分かる。
一体どこで執筆時間を確保していたのだろう。
このテレビ時評が『TBS調査情報』に連載されていた1987年から1989年は後期の大作『ハイ・イメージ論』三部作が『海燕』に連載されていた時期とちょうど重なる。吉本さんの触覚が〈今〉とは何か、〈今〉の 作者とは誰なのかに向けられていた 時期だった。
したがって単なるテレビ時評ではなく、一流の文芸評論家としての視点があちこちに散りばめられている。
いくつか興味深い点があったが、とりわけMr.マリックに対する高い評価は頷けるものだ。
20160426 13:14
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