おおよその見取り図を得ることができる
木田元『偶然性と運命』
■木田元『偶然性と運命』2001年4月20日・岩波新書。
■長篇評論・啓蒙書(哲学)。
■2017年9月8日読了。
■採点 ★★★☆☆
とても面白かった。筆者自身が述べているように、必ずしも結論に達しているわけではないが、この主題についてのおおよその見取り図を得ることができた。
とりわけ、ハイデガーの、人間は自らを時間として展開するという考え方と、ドストエフスキーの『悪霊』と『カラマーゾフの兄弟』の下り、取り分け、『悪霊』のいわゆる「スタヴローギンの告白」の捉え方は蒙を啓かれた。
しかしながら、筆者は「運命」を「めぐりあい」や「邂逅」といった、どちらかというとプラスの方向に捉えているが、マイナスの「運命」、「宿命」と言ってもよいが、それとの偶然性との連関が見いだされるとき、倫理の問題、善悪の問題が浮上するだろう。
わたしが「偶然性の倫理学」なる小文で論究しようとしているのは、この問題に他ならない。
20170908 11:22ー11:51
🐦
0 件のコメント:
コメントを投稿