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素晴らしいが、もう一歩何かが足らない
■万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』2013年9月30日・文藝春秋。
■長篇小説(時代・忍者)
■2017年6月30日読了。
■採点 ★★★★☆
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750ページにも及ぶ大部な、この時代小説をほぼ揺るみなく書き上げた筆力は生半可なものではない。圧倒的と言ってもよい。素晴らしいの一言につきる。
物語の最後半でのくだりが旧作『プリンセス・トヨトミ』に繋がっているのも感情を動かす。
しかしながら、何かもう一歩足らない。それはデビュウ作『鴨川ホルモー』と比べて、ということだ。それは「爽やかさ」ということだ。
多くの有能な著作家は自らのデビュウ作を越えることは、やはりできぬものなのか。
もうひとつ。これも瑕瑾というべきだし、そもそも先の論点と矛盾するが、大人の世界が書けていない、という点だ。意図的に書かないのかも知れぬ。が、本作で云えば百市という女忍者をいかに描くのかというのはじ重大なポイントだったはずだ。
さらにもうひとつ。物語の始まりは京でぶらぶらしているまさにプー太郎をしている主人公の気持ちの行き場のなさであるべきではなかったか。
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