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2016年8月11日木曜日

大変密度の濃い講演録 加藤典洋『戦後を戦後以後、考える――ノン・モラルからの出発とは何か』

 ↗加藤典洋を読む↗  

大変密度の濃い講演録  

加藤典洋『戦後を戦後以後、考える――ノン・モラルからの出発とは何か 

■加藤典洋『戦後を戦後以後、考える――ノン・モラルからの出発とは何か1998年4月20日・岩波ブックレット(岩波書店)。 








■講演(現代思想・現代日本文学)。 
■2016年8月10日再読了。 
■採点★★★☆☆。 


 物議を醸した『敗戦後論』(1997年・講談社)の後始末のような講演だが、大変密度の濃いものになっている。 
 サブタイトルにもあるように「ノン・モラル」つまり「俺は関係ないよ」といった社会的な無関心を土台に戦争責任や社会的な問題を考えないと駄目だ、というものだが、様々な例を挙げて*微に入り、細に入り詳細に説明している。 

*『敗戦後論』を書くに至った加藤自身の思想的履歴も興味深い深いが、芹沢俊介「イノセンスの壊れる時」、フランソワーズ・ドルト『無意識的身体像』、『銀河鉄道の夜』などが詳説されている。 

 無論、加藤の論敵や批判者がこれで納得したとは思えないが、それはともかく、この小著はもっと多くの若者たちに読まれていいはずだ。  

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