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2019年10月13日日曜日

驚嘆に値する 村上春樹『村上春樹 翻訳 (ほとんど) 全仕事』


驚嘆に値する



村上春樹『村上春樹 翻訳 (ほとんど) 全仕事』




■村上春樹『村上春樹 翻訳 (ほとんど) 全仕事』2017年3月25日・中央公論新社。

■紹介・対談(英米文学・翻訳)。

■2019年10月7日読了。

■採点 ★★☆☆☆。





 1981年に始まり一旦2017年で区切っても、驚嘆に値すると思われる、なんと70冊にも垂んとする村上春樹の翻訳書の一覧、それについての訳者本人のコメント、及び盟友。柴田元幸との翻訳談義を収める。

 村上の訳業について、個人的な感想を書き付けるとすると、矢張りレイモンド・カーヴァ―の発見と全作品の翻訳という偉業をいて他にあるまい。

 もしも村上がカーヴァ―を紹介していなかったら、恐らく、日本人の誰もカーヴァ―など読まなかったであろう。

 個人的にも心に残る作家の一人となった。とりわけ原型「風呂」とその改稿版「ささやかだけど役に立つこと」にはとても強く打たれた。享年50歳という、あまりにも早い死が惜しまれる。








 もう一冊挙げるのであれば連続殺人犯で死刑を受けた実兄ゲイリー・ギルモアについて書かれた、マイケル・ギルモアのShot in the heart (『心臓を貫かれて』)である。恐らく、村上の翻訳書では他の追随を許さぬショッキング度、というのかディープ度というのか、圧倒性については文句なしである。

 個人的な感想で言うと、これはアメリカの『カラマーゾフの兄弟』に他ならない。





 ところが、逆に、村上が相当な思い入れを込めて訳している、『グレート・ギャツビー』を始めとするフィッツジェラルドの作品、サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、あるいはカポーティやグレイス・ペイリーの諸作品については、恐らく波長の問題かもしれぬが、わたし個人としてはどうにも面白さが理解できかねるのだ。



 なぜだろう、不思議だ。



 ま、そういうこともありますよね。



 レイモンド・チャンドラーのハードボイルド作品はそれ自体としてはとても面白いとは思うが、翻訳上の問題(主として訳語の選択の問題)でいささかの疑義がある。



 あとは、これも当方の知識と経験不足によるものだが、ビル・クロウの『さよならバードランド』や『スタン・ゲッツ自伝』などの音楽ものが駄目だ。読んでも分からない。

 しかし、それは音楽を聴けばよいので、今回、訳詞集『村上ソングズ』を読むにあたって、同時進行で元の音楽も聴いて楽しかったので、是非とも、わたし自身の守備範囲を広げていこうと思っている次第だ。



🐧

2019/10/13 0:23

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