村上春樹、ラッテス・グリンツァーネ文学賞受賞
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| 村上春樹氏 |
ノーベル文学賞最有力候補と言われ続けて、今回14度目も受賞がならなかった村上春樹だが、発表の翌日にはなんとイタリアはアルバにいてラッテス・グリンツァーネ文学賞の受賞式に出席していたという。
村上は今までも、日本人には馴染みの薄い、複数の海外の文学賞を受賞してきた*。
*今までの海外の(文学)賞受賞歴。
①フランツ・カフカ賞(2006年)
②フランク・オコナー国際短編賞(2006年)
③世界幻想文学大賞(2006年)
④第1回バークレー日本賞(2008年)
⑤エルサレム賞(2009年)
⑥スペイン芸術文学勲章 (2009年)
⑦カタルーニャ国際賞(2011年)
⑧国際交流基金賞(2012年)
⑨ヴェルト文学賞(2014年)
⑩アンデルセン文学賞(2016年)
⑪ラッテス・グリンツァーネ文学賞(2019年)
推測すれば、そこには、賞そのものについては有名無名問わず、日本の作家という立場で、自らの作品はもとより、日本の文学、日本の文化、あるいはもっと広く日本人の立場や考え方を、欧米の人々に自らの肉声で伝えたい、というある種の使命感を感じずにはいられない。
とりわけそれは2009年に受賞したエルサレム賞にそれは最も表れていると言ってよい。村上はそこで次のように述べた。
もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます。(『文藝春秋』2009年4月号)
これ自体は取るに足らない比喩ではあるが、やはり本人も述べているように(『考える人』 2010年夏号「村上春樹ロングインタビュー」)、その場に直接行って、直接語り掛けることにこそ意味があるのであろう。
その意味ではノーベル賞だろうが、何だろうが、本質的な部分については多分、村上本人にとってはさほど変わりはないのだと、わたしには思える。
以下は日本経済新聞・web版(2019/10/12
11:22)からの切り抜き。
「物語は暗闇のかがり火」 村上春樹氏、講演で創作論
イタリアの文学賞を受賞し、記念講演する村上春樹さん(中央)=11日、イタリア・アルバ〈(C)Fondazione Bottari Lattes foto Murialdo、共同〉
【アルバ=共同】作家の村上春樹さん(70)がイタリアの文学賞を受賞し、11日夜(日本時間12日未明)、北西部アルバで記念講演を行った。いつの時代も物語が果たす役割は変わらないとし、「(魂の)暗闇を照らす物語という、ささやかなかがり火が必要とされている。それは恐らく小説にしか提供できない種類の明かりです」と語った。
日ごろ、公的な場に出ることの少ない村上さんが、率直な思いを披露する貴重な機会となった。
ラッテス・グリンツァーネ文学賞の「ラ・クエルチャ」部門に選ばれた村上さんは、「洞窟の中のかがり火」と題した講演で40年前のデビュー当時を回想。「ねじまき鳥クロニクル」などの自作を例に挙げながら、計画を立てずに書き始める独自の創作論を展開した。
イメージや情景が浮かぶと、短い文章にして印刷し、いったん机の引き出しにしまう。そうした「衝動的に書き付けた使い道のない文章」は数多く引き出しに眠り、ごく一部が時間とともに熟成して「自発的」に物語へと発展すると説明した。
「最初から筋立てや結論を決めてしまうと、僕はあまり面白くない」と村上さん。自由に書くことで「自分の無意識の領域にアクセスできる」とし、頭で論理的に作るのではなく、心で見いだした物語を紡ぎ出せれば「人々の魂と深いところで結び付くことができる」と、その真意を語った。
自由を重視する書き方は、好きなジャズの即興演奏から「大いにヒントを得ているかもしれない」とも話した。
最後に村上さんが「僕が書いた物語が暗闇を照らし、これからも照らし続けることができるならこれに勝る喜びはない」と述べると、会場は大きな拍手に包まれた。
ラ・クエルチャ部門は国際的評価の高い作家に贈られ、今年で9回目。過去にノーベル賞作家のパトリック・モディアノさんらが受賞している。
〔共同〕2019/10/12
11:22
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2019/10/12
22:56


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